セミナー開会のご挨拶

公益財団法人北海道生活衛生営業指導センター 小池 理事長

公益財団法人北海道生活衛生営業指導センター 小池 理事長

生衛業支援セミナー開会の挨拶(要旨)

ただ今、紹介を受けました北海道生活衛生営業指導センター理事長の小池でございます。

本セミナーの開会にあたり一言ご挨拶を申し上げます。

本日は、ご多忙の中、 多くの皆様に ご出席いただき、感謝申し上げます。

北海道の経済は、昨年の胆振東部地震とブラックアウトによる経済的被害からまだ完全に回復していない状況にあります。

さらに 今年 夏からは韓国からの観光客が減少し、この10月1日からは消費税がアップし、原材料の仕入価格に加え電気、水道なども値上げとなり、商品やサービス料金への価格転嫁が難しい生衛業においては、経営の厳しさが増しております。

このような中、生衛業の6つの組合から実行委員を出していただき、北海道の生衛業の将来を見据えたセミナーの検討をお願いし、本日の開催となったところでございます。

本日のセミナーは、お店の利益アップをテーマとした講演を一般社団法人フードアカウンティング協会の遠山先生に続いて、リーダーの変革と人材育成をテーマとした講演を特定社会保険労務士の田中先生にお願いしております。

是非、最後までお付き合いください。

このセミナーは、北海道からの助成を受けて開催いたします。この場を借りましてお礼申し上げます。

当指導センターでは、生衛業の方々の衛生確保の向上や経営の健全化を通して、道民のより良い生活の営みに 寄与できればと考えております。

最後に 本日のセミナーが実りあるものとなりますように、そして、お集まりの皆様方のご健康を祈念いたしまして、私の挨拶といたします。

講 演

第一部「お店の集客・売上・利益アップの手法(抜粋)」講師 一般社団法人フードアカウンティング協会 相談員 遠山 景子 氏

お店の集客・売上・利益アップの手法(抜粋)

講師 一般社団法人フードアカウンティング協会 相談員 遠山 景子 氏

 今日は、貴重なお時間をいただておりますので、1つでも2つでもお役に立てていただけるようなご提案が出来ればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。前半は、お店の認知度アップで新規のお客さんを集客する手法と後半は客単価と利益をどうやって上げて行くのかについてのお話をさせていただきます。

はじめに

資料の1ページ目ですが、フードアカウンティング協会のフードは飲食、アカウンティングは会計の意味です。協会は、飲食店様の協会ではなくて、飲食店の指導を充実したいという税理士事務所の協会です。

フードアカウンティング協会は、「どうやったら売上が上がるのか」、「どうやったら利益が上がるのか」のご提案から立地までのお手伝いをこれからの税理士事務所はしていかなければならないと考える税理士の会であると思っていただければと思います。私は、相談員という立場で、各会員の税理士事務所のクライアントの飲食店様の売上と利益アップのお手伝いをしております。1か月に少ない時で30店くらい、多い時には50店ほどの飲食店の現場に伺わせていただき、売上、利益のアップの質問をいただきながら、立地のお手伝いをさせていただいております。昨年は、600店舗ほどお手伝いさせていただいております。本日は、どうやって新規のお客さんを作って行くのか、どうやって売上を上げるのかに絞り、お話をさせていただきます。

1.お店の認知アップ、新規客を増やして行こう

多くのオーナーさんから、どうやってリピーターや常連客を作って行ったら良いのかとか来店頻度を高めるために何か良い対策はないのかとの質問を受けます。ただし、オーナーさんには、リピーターは何故お店に来るかというと大体は「このお店の料理が好き」とか、「このお店が好き」などこのお店に行きたいという顧客満足が高くなって、行きたいと思われる方が通われるのであって、そこで販売促進にあまり頼らないでくださいとお願いしています。リピーターを作るためアプリやスタンプ、サービス券等の色々な取り組みがあると思いますが、これまでの経験上、そちらに気持ちが寄られたオーナーのお店のほとんどで経営が芳しくなくなる傾向があります。このやり方でお客さまを繋ぎ止めようとすると普段の顧客満足度を上げる努力が薄くなってしまう意向があります。あくまでも、料理が美味しいとか、ここの商品が好きだとか、ここに通いたいと思っていただくことに集中し、リピーターを作ってください。

ただし、今日のテーマの新規のお客様開拓については、皆さんのお店を知らない人がターゲットになるので、顧客満足の前に販売促進の形でどうやって1回目を作って行くかに取り込んでいただきたいので、まず、前半で新規のお客様を増やす販売促進をお話します。

(1)新規客を増やすための販売促進

何年お店を経営していても商圏内には、まだ来店したことがないお客様はたくさん存在します。商圏内のターゲットとなる対象の何パーセントくらいが、一度でも来店したことがあるでしょうか?皆さんのお店を想像してみてください。これは半径何キロと言うものではなくて、実際、この近辺に観光に来た人、この近辺で働いている人、住んでいる人たちなどお店に来ることができる範囲に入った人たちを商圏と思ってください。その商圏に存在している人達の中で、どれくらいの人が1回でもお店に来たことがあるのか想像してください。超人気店でも大体10パーセントくらい、一般的なお店の場合は1パーセントに満たないのが現状と言われています。飲食業は商圏商売です。商圏に足を踏み入れた人達は、皆さんのお店に入る可能性のある人ですが、9割以上の人が来てくださらない。これは、すごくもったいないことです。また、興味はある、店の存在は知っているが来店にまで至っていないお客様もたくさんいます。皆様が現場で経験されると思いますが、新しいお客様が来店されて、お話を聞いたら、お客様が「このあたりに5年住んでいて、4年くらい前からずっとこのお店が気になっていて、今日来てみた。美味しくて楽しいお店ね。」と褒めていただいた。では、ここで考えていただきたいのは、4年前に来店されて、気に入ってもらい、4年間通っていただけていたら、いくらお金を落としていただけたでしょうか?もしかしたら、自分のお店の周りに興味はあるが、来たことがないお客様がかなりたくさんいらっしゃるとお考えください。この人たちが何故来店してくれないのかというと、皆さんは「うちの料理が良くないのか、接客が良くないのか」とよく言われますが、そもそもお店の料理を食べたことがないし、接客も受けたこともない人が多いのですから、ただ単純にお店の存在、内容を知らないから、興味を持たないから入店しないのだとご理解ください。お客様はお店の内容を知らないと入れません。入店に至るまでには、一般的に7割程度の情報が入って、はじめてそのお店に行こうかなという土俵に乗られると思ってください。よく口コミとか紹介は強いと言われますが、当然です、例えば、あるお店について、「こんな料理で・・・」、「これが美味しくて・・・」、「マスターはこんな人で・・・」、「1回行ってごらん」と言われたらその時点で8割ぐらい情報が入っていますので、安心してお店に行きます。この口コミやご紹介を増やして行くのは、日々の経営の中で、1人1人のお客様に喜んでいただくことを徹底してください。ただ、この人たちがお店のことを話してくれるかどうかは、わからないです。これはこれでやって行きながら、もう1つ、近隣の方々にどうやってお店を知ってもらうかに取り組んでいただきたいと思います。

新規のお客開拓の大切なことは、とにかくお店の存在を知らせること、お店の内容、例えば何をいくらで食べるのかなどです。ここまでで約60パーセントです。残りの10パーセントは、お店の特徴、良さを知らせることです。お店の特徴を知らせて、はじめて7割知らせたということになります。

新規のお客開拓を実現する方法は大きく分けると3つです

1番目は、インターネット、2番目は店頭案内、3番目はその他の告知です。この3つのどれを活用するか、どう皆さんのお店で活用するのかを知ってください。

お店の立地条件や業態によって力をかける比重が異なってきます。例えば、お店の前は人通りがあり、車も通るのであれば2番の店頭告知。 もし、お店に前の人通りが良くないのであれば1番のインターネットか3番のその他の告知をやって行かなければなりません。ただし、お店が高級懐石料理であれば店頭告知をやりすぎるとイメージが悪くなるので、1番と3番を活用することです。

重要なポイントとして、何故、新規のお客さんを得るのかというと、1回目の出会いを作りたいのです。その時の売上のためではなく、1回目の出会いを作り、結果として、できれば通っていただきたいのです。この店が好きだという方と出会っていただきたいのです。

とにかく、お店の良さを知っていただくことを中心に置いてください。そこで、まずは、自分のお店の良さを書き出してください。お客様が来てくださる理由はなんでしょうか?それを書き出してください。料理でも、ママのキャラクターでも結構です。うちにしかない良いもの集めてください。

もし、無いのであれば1つずつ作ることからスタートしてください。まとまったら、はじめて販売促進に入ってください。

①インターネット

近頃では、気になるお店がある場合には、ほとんどの方がお店を検索し、お店の情報を得てから来店されます。お店の名前や商品、サービスに関連する言葉を検索したら、何かしら自分のお店の情報が出て来るようにしましょう。最低限、どこかのグルメサイトに、例えば、札幌、何とかと検索したら、もしくはお店の名前を検索したら、皆さんのお店の情報が出くるように準備してください。お店の情報とは、場所、どのような料理か、何が美味しいかなどです。

これを言うと「ホームページを作らなければならないの」と言う方がいらっしゃいますが、私は飲食店の方にホームページはあまりお勧めしていません。何故かというと負担が大きいからです。更新も大変で、金銭的にも大きいからです。一番簡単な方法としては、グルメサイトへの掲載です。例えば、グルナビ、ホットペッパーなどです。今は、掲載されていないとお店が無いのと同じです。サイトへは、一番安い金額で結構ですので、最低限の情報を掲載してください。お金をかけたくない場合、その場合はお店が手間をかけて、無料で掲載できます。例えば、食ベログさんでは、無料で店舗管理サポートができます。これで、皆さんがお店のページを管理でき、料理の写真、コメント、メニュー内容などを掲載できます。そうすると、皆さんのお店の前を通った人がお店の名前で検索すると料理の内容などを知ることができます。実際、私が友人から皆さんのお店の料理が美味しかったと聞いたら、すぐに予約するかというとすぐにはしません。必ず1回、自分の携帯電話でお店を検索します。本当においしいのか、料理の内容や値段を調べてからでないとお店には行きません。このため最低限、お店を紹介できる形をとってください。

もう1つグーグルマイビジネスがあります。今、お店等をグーグルの地図情報で検索される方が非常に増えています。SEO対策について、ご存知の方もいらっしゃると思います。SEO対策とは、サーチエンジン最適化のことで、ネット上でいかに自分のお店のワードが引っ掛かり、上位にランクされるかを考えですが、今は、MEO、マップエンジン最適化、地図上の情報の中でお店を見つけるのが主流になって来ています。グーグルマイビジネスを見ていただくとわかると思いますが、グーグルの地図上で皆さんのお店がアップされています。実は、ダタで少し手間をかければ店舗情報が登録できます。これをすると皆さんが知らない間にお客様が店舗の情報を見て、お店を選んで来店されます。これは、お店側が情報をコントロールできるものです。これからは、できれば、この2つに登録してください。

インターネット活用には、SMSの活用 フェイスブック、インスタグラム、ツイッターがありますが、これは、飲食店側がいくら頑張ってもコントロールできないものと思ってください。基本的には、フォローしている人しか見てくださらないのです。いくら一生懸命アップしても友人かお店をフォローしている人たちしか見ていないので、常連さんとのコミュニケーションツールとして使用するのが良く、新規のお客様を開拓するツールには合わないものです。これを活用される場合は、インターネットの仕組みは忘れて、人間の行動心理を考えてましょう。今、皆さんは携帯電話をお持ちだと思います。それには、カメラ機能が付いています。今の人は、面白いもの、美味しいそうなもの、楽しいものなどを撮影し、保存するだけでなく、人に見せたいのです。見せるために撮影しているので、もしかしたら友人に「これすごく良いわよ」と言ってくださるかも知れないし、フェイスブック、インスタグラム、ツイッターでお店を拡散してくださる可能性があります。ですので、それをうまく活用したい方は、お客様が「すごい」と言って写真を撮ってくださるような料理を広告宣伝と考えて、少し原価をかけても良いので、そのような料理を作ってください。SNSで発信していただけるお客を引き付ける客引き商品を1品か2品を開発するもの良いことです。お店に来た人が思わずカメラで撮りたくなる料理をいかにメニューとして入れて行くかをご検討ください。ただし、原価の高い客引き商品を作ってしまうとお店が儲からなくなってしまいますので、SNS用の客引き商品を作られる場合には、原価が低く利益が確保できる商品を同時に注文していただける仕組みを取ってください。

②店頭案内 ~新規のお客を増やすお店の外観~

私達は、店頭の評価をかなり頑張ってくださいとお願いしております。 お店の前を通る人の大半は、近所に住んでいる方か、近所で働いている方、商圏内で活動している方の可能性が非常に高いです。その人たちは常連になってくれる可能性の高い人達なので、お店の前を歩く方が多いのであれば、かなり頑張ってお店前を歩く方を引っ張ってくださいと言っております。

資料の店頭案内のところに女性3名のイラストがあります。新規のお客様がお店に入ってきて「入ってみると意外と素敵なお店ね」と褒めてくださり、「お料理は期待以上で感動したわ」と言ってくださりました。

これを聞くとありがとうございますとなるのですが、このような言葉が出てきたら重大な危険信号と思ってください。「入ってみると意外と素敵なお店ね」ということは、お店の外から見たときにお店の中がすごく良い状態であることが感じられないということですし、また、「お料理は期待以上で感動したわ」ということは、お店の外を歩いているときにここのお店は美味しい料理を出すお店である雰囲気が醸し出されていなかったということです。この言葉が出てきたら、お店の雰囲気、良さ、料理の美味しさ、楽しさなどをお店の前を歩く人たちに表現できていないということです。お店の良さが知られていないとお考えください。

今から外観について深堀をしていきます。店舗の外観はお店前の通行人にお店の良さを知らせる場所です。お店の情報を店外のお客様にアピールし、入店を促す取り組みをしてください。

一番簡単なのは腕の良い内装屋さんに来てもらい店頭を改修すればいいのですが、しかし、かなりお金がかかってしまいます。 私達が勧める低投資で出来る対策として、お店の形はそのままで、タペストリー、ポスター、立て看板等を活用する方法があります。これを上手く活用してお店のアピール、情報開示を効果的にしてください。これには大切なポイントがあります。まず、1番最初に興味を持たせるアイキャッチ的なものを考えてください。歩いている人、車で通る人に興味を持たせる必要があるので、「あ、あの店良さそうだな」と思わせるある程度大きなもので目立つものが必要です。居酒屋さんであれば提灯、看板などでも良いです。歩いている人からまずは見つけていただいて、興味を持ってもらうこと、次に近づいて来ていただいたら、うちのお店は何が美味いか、値段、料理の内容などを開示し、安心感をもって入店していただくという流れです。足と心を止める大きなもの、そして、近くに寄ってくれたらお店の良さを伝える情報という形で、入店までのイメージを持ってください。

もし、お店がロードサイドにあり店の前を歩く人が少なく、車ばかりであるという場合ですが、運転してお店を見つけ、良さそうなお店だなと思っても通り過ぎるのが大半です。しかし、お店が気になった方は、そのお店を携帯で検索をします。ロードサイドのお店は、車から見たときにいかに興味を持っていただけるかが大切で、良いアイキャッチを作ること、次はインターネットの中でお店の情報を発信していることが必要です。

ここから事例を紹介します。エスニック料理のお店です。

東京の荒川区のローカルな駅の駅前のお店で、この地域の利用客は、ご近所のおじいちゃん、おばあちゃん、ご家族連れの方などが多いと考えられます。お店はオープンから1年未満で、オーナーさんはネパールの方、調理人も全員ネパールの方です。お店に中々地元の方が来てくださらないというご相談でした。お伺いさせていただて、お店を見たときにアイキャッチとしては黄色の看板でエスニック料理と書いております。地元のおじいちゃん、おばあちゃん、家族連れの方は、オーナーさんがネパール人、外の看板に料理はエスニック調とあり、ちょっと怖くて入れないのではないかと考えました。

ここで、皆さんに冷静に自分のお店を見ていただいて、新規のお客がふらっと入って来ないのは何故か考えてみてください。目立っているのに何故新規のお客が来ないのかという場合、原因として良くあるのが「ちょっと怖くては入れない」、「何屋かよくわからない」ということがあります。

そこで、大きなタペストリーを作成し、このような形でかけていただきました。アイキャッチとして「おいしい」と「カレー」というワードを使いました。日本人はみんな「おいしい」、「カレー」はわかります。「おいしいカレー」なら皆さんに興味を持っていただけるので、おいしいカレーでお店の近くにお客様を引っ張ってきて、次にポスターで料理の写真を見てもらい、おいしそうだと思っていただき、立て看板は写真入りで何がいくらで食べられるのかわかるようにし、看板の表面でお昼のランチ750円の紹介、裏面で夜の料理を紹介し、安心感を持っていただこうとこのような形にしました

このタペストリーですが、今はインターネットで注文ができ、1万円から1万5千円くらいで、かなり大きなタペストリーが印刷できます。ポスターもA1サイズの大きなもの2枚が6千円弱くらいでできます。まず、皆さんにご理解いただきたいのは、今回、アイキャッチ的なものは「おいしいカレー」という日本人にわかりやすいものに立地を考えてしました。もし、お店が新宿とか渋谷であれば、「本格エスニック料理」というワードの方が良いかも知れません。これは、皆さんのお店の立地の中で、来ていただきたいお客様に対し一番どのようなワードが合うのか考え、選んでくださればよろしいと思います。

次の例ですが、新宿区のちょっと繁華街にある欧風料理のお店です。

札幌でもよくある例ですが、お店は路面店で、外からお店の中を見ることができます。外に黒板を出して手書きでメニューの紹介をしています。これを見ていただきたいのですが、新規のお客様を獲得するためには1つ情報が足りません。何かというと料理の質感と量感のわかるものがないのです。先ほどのカレー屋さんは写真を使っていましたが、新規のお客さんを獲得するには一番大事なのは料理の写真と思ってください。

例えば、ここにアヒージョ780円とありますが、このアヒージョ780円が高いか安いかわからないです。具がいっぱい入っていれば安いですが、でも具があまり入っていないアヒージョなら高いです。まだ1回も行ったことがないお店に関しては、そこの料理の質感と量感、価格の情報が入って、はじめてお店に行こうかどうかとなります。ここでは、新たに写真入りのポスターの立て看板を設置しました。

新規のお客を獲得されたいなら、1つで良いですので、何かしらの料理の写真を掲載してください。もし、うちのお店は新規はいらない、常連さんだけで良いですというのであれば、写真はいりません。もともと常連さんは皆さんのお店を知っているので、「今日は何を出しています」で良いです。

もう1つ、紹介します。こちら浅草橋の地元客の多い、観光客は少し通るところのお寿司屋さんのビフォーとアフターの写真です。

料理の写真は戦略的に表示していただきたいのです。写真をたくさんベタベタ貼るほどお客さんは引いて行ってしまいます。何故かというとダメな店に見えてしまいます。

こちらの店舗では、すでにお寿司の綺麗な写真がありましたので、これをアイキャッチにしました。日本に来ている外国人にもお寿司は全員わかりますので、あえてsushiという英語は使っていません。

1貫160円からと書いていますが、玉子が160円ですが、まぐろはどうなのかはわかりません。これだけでは、お店に入ってはくださらないです。この写真は綺麗なので、お客様は興味を持ってくれて、足は止まります。この写真の左に目を向けると逸品料理の写真があります。逸品料理の写真で料理の質感、料理人の腕前がわかるものが並んでいます。しかし、和食屋さんは非常に難しいです。和食屋さんにふらっと入る粋なお客はなかなかいません。それで行ったのは、おまかせ握り8貫1,200円です。これだったら1回は入ってもいいかなとなります。足を止めるお寿司、そして職人さんの腕がわかるもの、最後に背中を押すものとデザインしています。例えば、お寿司の写真だけでは、お店に入ってくださらないです。そして、逆におまかせ握1,200円を大きく掲示したとすると、安い寿司を出しているダメな店と思われます。そういった部分をお考えいただきながら、この店良さそうだと足を止めてくださるもの、情報がわかるもの、最後に背中を押すものとレイアウトしてください。おしゃれに綺麗に作ったからお客様が来るわけではないのです。大事なのは、この店では、何が食べられて、何が楽しめるのかということが伝わるということなのです。デザイナーのように綺麗につくらなくても、意図が入っていれば効果があります。うまく活用してください。

最後に群馬県のある都市の一軒家の和食屋さんです。

こちらオープンから1年未満、高そうに見える外観です。なかなかお客様が来ない状況で、お店でランチの幟も立てていますが、やはりお客様が来ないという相談でした。私たちは、お店の外観によって料理の値段が高そうに見えて、来店しないのではないかと考え、お店がちょうど信号のある交差近くであったので、タペストリーを設置することとしました。これをご紹介します。タペストリーは2パターンあります。

最初、半年間は、こちらの昼の膳880円から、デザートとドリンク付き日替わり御膳1,100円と表示しました。理由は、ここのお店は高いと思われているので、880円からお昼の料理が食べられることを知らせるタペストリーにしました。これだったらお店を利用してもいいかなと思っていただこうと考えました。お陰様で3割ぐらいお客さんが増えました。次の半年は、タペストリーに贅沢プレート1,800円を表示しました。そもそもお昼にちょっと贅沢をしたいなと思っているお客様を引っ張ってきたいので表示しました。皆さんが店外に表示するときは、大体、3か月から半年に見直しをしてください。現状があって、それに対する対策を行いました。そうすると結果が出ますので、それに対する次の対応をとっていただけると大変効果的だと思います。

①その他の告示

インターネットは大事だと言いましたが、まだまだアナログで対応できる方法もあります。3つほど説明します。これからの説明で、使えそうなものがありましたなら、皆さんのお店で使ってください。

事例の1つです。 居酒屋でオフィス街に立地、ランチにはお客様が来てくれるが、夜にはなかなか来てくださらない。ディナータイムの集客をしたい。方法はランチタイムのお客様ディナーメニューの告知を徹底的にして行く。このやり方を私たちは、かなり徹底的に行ってくださいとお願いしています。何故かというとオフィス立地では昼と夜のお客様は同じお客様です。1日に2回使ってくださる可能性があるのに昼しか使ってくださらないのは残念なことです。このお店は、名古屋市のオフィス街の30年以上営業しているお店でお昼に50人くらい来店されます。1月1,000人くらいです。その中の5%でも夜来てくれたら売上が上がりますので、お昼に来たお客様にこのチラシを1か月は渡す対策をしました。

チラシは1,000部で、3千円程で印刷しました。ドリンク無料のサービス券をホチキスで止めて、会計時に渡しました。「もう貰ったよ」と言われても、とにかく1月間渡しましょうとお店に言いました。このチラシを見ていただくとわかると思いますが、昼に来ていただいているお客様向けなので、デザインなどは気にかけていません。お店のコンセプトも言う必要もありません。要は、昼に食べられない夜の名物料理を徹底的にご紹介して行くことです。このお店では、2大名名物料理、いか姿焼とプレスたこ焼きを中心に紹介しています。よくサービス券だけ渡すお店がありますが、お昼のお客様にサービス券だけ渡しても効果はあまりないと思われます。このチラシを見て、この料理うまそうだね、1回行ってみようかとなった時に、その時にサービス券でドリンク1枚がもらえる形となります。あくまで補足がクーポンです。大事なのは、夜に行ってもいいなと思ってもらえるよう提示するということです。このお店はメニュー表を変更しました。このお店では、文字だけのメニュー

でしたが、お昼に来ても夜の料理がイメージできないので、お店には夜のメニューを置いてくださいとお願いしております。このお店はお昼には夜のメニューは置いてなかったので、写真入りの夜のメニュー

を作り、お昼のお客様に夜の料理の紹介をしました。お陰様で集客と客単価アップが図れて、約2割売り上げがアップしました。

もう1つの例は、洋食店で住宅立地です。

住宅立地は、平日のランチで稼がなければなりませんので、こちらのお店は近隣の主婦層の集客を狙いました。方法としては、商圏内の住宅にチラシ配布をしました。チラシの配布は、皆さんのお店のターゲット層が地元の主婦層とファミリー層であれば、まだまだ効果があると思います。主婦の方は、昼間、お家にいますので、その方々に案内ができるツールは折り込みやポスティングになります。事例を紹介しますが、愛知県のある都市の洋食店です。

ビフォーとアフターをご紹介します。良いお庭があるフレンチの一軒家レストランです。このチラシを2万枚ほど配布されていましたが、ほとんど効果がなかったので、チラシは効果がないとおっしゃっておりました。このチラシを見ていただいて、皆さんは何が足りないのかお気づきかと思いますが、どんな料理が食べられるのかが足りない状態です。

そして、変更したのがこちらのチラシです。

チラシで一番怖いのが見ずに捨てられることです。こちらは、主婦向けのチラシですので「美味しそうね」、「綺麗ね」と思っていただければ、もう少し見ていただけるので、表紙の大きなところに綺麗なお料理の写真を載せて、その下がランチの案内となっています。こちらのランチは1,500円くらいのものです。はじめて見たお店でなかなかランチ1,500円には来てくださらないと思えるので、裏面にディナー内容を掲載しました。ディナーは7,000円します。そうすると夜は7,000円するのに昼に行くと1,500円で食べられるのであれば、1回行ってみようかとの気になるので、このようにしました。このチラシにミニデザートサービスのクーポンを付けました。それで、2,000部印刷し、スタッフの皆さんで近隣の住宅に配布したところ、チッケットを100枚以上回収しましたと報告をいただいております。主婦、ファミリー層を対象とし、お料理のことがわかる内容を載せる等の条件を守れば、チラシもまだまだ効果があると思います。

もう1つの事例です。

懐石料理店さんで、こちらはお金を使ってくれる高所得層と近隣の主婦層を集客したい。埼玉県の地方都市で、住宅の多い地域です。方法は、高所得層へのダイレクトメールをしました。対象は、地元の中小企業の社長さん、病院の先生、士業事務所さん、近隣のお家でした。

まず、良いお客を獲得したい場合は、チラシはお勧めしません。ちょっと洒落たリーフレットみたいなものを作っていただきます。こちらのお店が、3つ折りのリーフレットで、冬バージョンと春バージョンをつくりました。

良いお客様にアピールしたい場合は、最低2回はやっていただきたい。1回目はジャブで、このお店良さそうと思っていただき、2回目に興味を持っていただくことです。リーフレットにかかる費用ですが、7,000円でお釣りが来るくらいです。そして、リーフレット、お手紙を封筒に入れて、奥様が宛名書きをされ、近隣の会社やお家にポスティングとして入れました。

結果としては、半年後に売上がおおよそ倍になりました。今日、3つの販売促進をお伝えしてきましたが、皆さんのお店に来て欲しいお客さんがいると思います。昼に来る人を夜にもとか、主婦、会社員に方とか、それにあった販売促進をいかに行っていくかで効果が変わっていきます。

客単価アップ&利益アップを目指す取り組み

ここから客単価と利益アップの方法を紹介します。お願いがありますが、お店に戻ったら電卓を片手に今の状態で売上が1割上がったら、どれだけ現金が残るのかの計算をしていただきたいのです。一般的に売上が1割上がったら、利益は2割ぐらい上がるといわれます。300万円の売上があるお店で家賃30万円なら、手元には50万円くらい残るのではと思います。300万円の1割アップで330万円です。1日40人のお客様が来ているのであれば、あと4人です。お客様1組か2組です。もしくは客単価4,000円のところであれば、4,400円です。ドリンク1杯かアラカルト1品出れば、1割アップです。では、この1割アップが実現したときにお店がどうなっているかというとおそらく何も変わっていないと思います。今日、なんとなく、ちょっと客が多かったのではないかとか、ドリンクがいっぱい出ていたと思うくらいです。家賃や人件費は変わらない、光熱費もさほど変わらないです。

ちょっとお店の外を強化して、1日に1組増える、あと1品出ることによって、現金がすごく変わります。是非、お店に戻ってから、1割アップするためには客数あと何人増えればいいのか、もしくは客単価をどうすればいいのか、1割アップしたときにお店の現金はどれくらい変わっているのかと見ていただけると取り組む意味を見いだしていただけると思います。

ここから客単価のお話をします。この仕事をもう20年していますが、20年前からちょっとお店の売上が良くないというオーナーさんと話をすると、オーナーさんは「最近のお客はお金を使わなくなった」とよく言われます。これは、20年前から言われ続けています。ということは、バブルの頃から、芳しくないお店のオーナーさんは皆そう言われます。しかし、使うところには皆さんお金を使っています。実際、タピオカはブームですが、1杯700円します。1杯700円する飲み物を女子高校生は毎日飲みます。使いたいところには、やはり使うということです。日本経済の景気の問題はあるとは思いますが、使わないには内に何か理由があるのではないかと思っていただいた方が、気持ちが楽になるので、ちょっと頑張りましょうとお願いしています。例えば、皆さんが繁盛店に勉強しに行ったときに魅力的な料理があるので、ついつい頼んでしまったとか、思っているより注文してしまったという経験もあるかと思います。これから飲食店の方には、ついつい食べたくなったとか、欲しくなったという欲求をいかにその場で作って行くかが客単価アップに大事なところです。

メニュー表の役割

メニュー表は、お客様に商品名と価格を提示するためのツールで、一般的には商品カタログ、価格リストと思われがちですが、メニュー表こそがお店の営業マンであるとの考えを持っていただきたい。客単価が上がらないというオーナーさんは、「うちのホールスタッフは育たないのでお勧めを上手く伝えてこない」とか、「おかわりを取ってこられない。」、「最近の者はダメだ」とか言われるのですが、ホールスタッフは営業マンではありません。あくまでもサービス、おもてなしをして、「美味しかった」、「楽しかった」、「また来たいな」と言っていただく、おもてなしをするのがホールスタッフの役割です。この人達に「おかわりを取ってこい」、「なにか勧めてこい」と言っても、営業したことのない方には厳しいです。飲食業界は人で不足で、それができる人はなかなか来てくれません。是非、オーナーさんにお願いですが、ホールスタッフに営業をさせるのではなくて、お店として売れる仕組みを作っていただいて、ホールスタッフには、おもてなしに集中する体制をお願いします。メニュー表について、文字が読みにくい、デザインが良くない、古い、写真が無い、料理説明がない、手作りでお粗末、味気ない、ずっと変更していないなどいろいろありますが、実は、メニュー表の変更や改善が必要かは、見た目では判断できません。今日、お店に戻ってからメニュー表を確認する作業は、おやめください。何をして欲しいかというと、レジの集計を見てください。今日は、皆さんが想定する客単価になっているかどうか、売りたいものが売れているかどうか、厨房に確認していただいてオーダーの取り方が悪くてパニックになっていないかどうかなど経営上の問題があるかどうかを確認してください。もし、問題がある場合はメニュー表の変更で改善できる可能性があります。ただし、お店が客単価は取れています、売りたいものは売れていますという場合は、メニュー表は機能しています。メニュー表に写真はあるし、おしゃれだし、綺麗に作っているが、思っているほど売れていないのであればメニュー表が機能していないです。メニュー表の変更は、是非、メニュー表の見た目ではなく、経営上で判断していただきたいです。

客単価・利益アップを実現するための流れ

もし、メニュー表の変更をするのであれば、目標売上を達成するための売上計画を作成してください。

まず、目標の売上額の設定、次に客数の設定、1日に何人のお客さんを想定するのか、お店の座席数の限界も考えて設定します。そして目標額になるためには1人あたりいくら食べてもらうかを設定します。結構繁盛しているお店のオーナーさんは、ここをしっかり決めておられます。飲食店営業と他の業種の大きな違いは、席数に限界があるということです。これは大きな違いです。どんなに人気のあるお店でも席数以上のお客様は入ってはいただけないので、席数の中でいくら稼げるか、客単価を確保していかなければなりません。では、客単価が決まりましたので、次には、目標客単価を実現するためのお客様の注文シミュレーションをしてください。どうゆうオーダーの仕方をしてくれたら、目標の客単価になるのかを考えてください。理想的な注文は、お店の利益が出て、お客様が満足するものです。ここの事例は、ネパール料理店の例ですが、一般的にカレーとナンとビールの注文で、客単価は1,800円で止まります。ここのお店は客単価として2,800円が絶対欲しいのです、そうすると2名来店では、おつまみ・サラダから1品、タンドー(グリル料理)から1品、カレーから2品、ナン2品、ドリンク2杯ずつで4杯で、1人2,800円になるというシミュレーションを立てます。

利益アップを実現するための流れ

お店のメニューの分類をしてください。私たちは、今のメニューを4つに分けていただきます。4つとは、A:売れていて、しかも儲かる商品、B:売れているが、あまり儲からない商品、C:あまり売れていないが、儲かる商品、D:売れも、儲かりもしない商品です。AとCの商品の中から、つまり利益率の良い商品の中から積極的に売りたいメニューを決定してください。これは自信があって儲かる商品、そして、先ほどの売り方のシミュレーションを決めました。あとは、メニュー表に落とし込んでいくだけです。

事例1 ネパール料理店A店

一見すると素敵なメニューですが、問題がありまして、こちらは客単価が低いのです。注文がカレーとナンとドリンクで終わってしまう。それとランチのお客さんがディナーに来ないと問題がありました。原因ですが、メニュー表は4ページ構成になっていて、カレーがメインです。そうするとカレーとナンを注文すると他の商品は注文しないとなる傾向があります。そこで、何をしたかというと次のページですが、こちらは目標客単価を2,800円、2名来所で、アラカルト1品、グリル料理1品、カレー2品、ナン2品、ドリンク4杯をオーダーしてもらうためメニュー表の構成を変えました。メニュー表の改善のポイントとして、まず1番最初にページ構成を変更しました。メニュー表は左からスタートしますが、皆さんカレーを食べに来たとイメージしてください。メニュー表を開くと最初にスパイスの話があり、次にアラカルトです。大事なことは、オーダーをして欲しい流れに沿った順番でメニュー表を構成してください。アラカルトですが、このお店はサラダも自信がありますので、カレーとサラダは相性がいいので、サラダを注文しようかという気持ちになっていただき、そして次のページはお店のこだわりを紹介、ここは肉料理を紹介し、次のページはカレーです。アラカルトを注文するときにドリンクも注文しますが、カレーが来る前にもう1杯注文するかもしれないとイメージして、メニュー構成をしてください。そうするとオーダーを取りやすい流れになるのではないかと思います。

事例2 和風居酒屋B店

ここのメニュー表は、文字だけのものです。このお店の問題は、客単価が低いことと注文がばらつき厨房が間に合わないことでした。原因は、ある程度好みのメニューを頼むと終わってしまうことと「おすすめ」のアピールが無いので、選ぶ理由が好きな食材と調理法になってしまい、色々なものをオーダーされて、厨房がパニックになってしまうということでした。これを改善するためにまず目標客単価を設定していただきました。目標客単価は2,500円とし、2名で来店したときには、おつまみを5、6品頼んでいただきドリンクを2杯から3杯飲んでいただくと2,500円がオーダーとして取れます。これを実現するために何をしたかというとカテゴリーごとに明確に仕分けをして、購買意欲の誘導に取り掛かりました。どういう事かというとおつまみを5、6品頼んでいただきたいので、そのため8つのカテゴリーに分けていきました。大体、2名ほどで来店したお客様は、1カテゴリーから1品ずつ注文される傾向があります。8カテゴリーに分ければ、カテゴリーの2つ、3つ注文がなくても、5か6品は注文していただけると考えました。カテゴリー毎に分けると見やすいということもありますが、皆さんのお店で何品注文していただきたいのかで、幾つのカテゴリーに分けるのかをお考えください。もう1つですが、売りたい商品を1つのカテゴリーにまとめてしまうとなかなか売れません。売りたい商品はカテゴリーを離すことをお勧めします。そして、お勧めメニューの明確化ですが、皆さんのお店で売りたい商品が明確であれば写真を載せるとよく売れます。このお店では、「おすすめの逸品」のページに売りたい商品の写真を載せています。さらに売りたい商品の写真の同じものをカテゴリー分けしたところにも載せています。要は、売りたい商品のみ写真を使っています。それと日本酒も売りたいので、日本酒ブックをつくりました。日本酒についてもコメントを載せています。お陰様で売上は約2割上がりました。厨房の方からすごく楽になったと報告いただいております。売りたいものにオーダーが集中しますので、厨房も楽になり、利益も上がりました。

事例3 つけ麺店 C店

長年営業しすごく繁盛していますが、今回、息子さん夫婦に代替わりするに合わせて、もう少し客単価を上げたい、しかし値上げはできないとのことで、ご相談がありました。客単価が低いこととサイドメニューも注文されないとのことでした。お店に伺うと、ここは、もりそば720円で、まあまあ麺が多いので、皆さん720円で注文が止まっていました。そこで、何をしたかというと目標客単価を決めていただきました。まず、一人で来たお客様には、できれば800円以上食べて欲しい。800円以上になるには、ラーメンかもりそば1杯にトッピングのどれかを付ける。そして、2人で来たお客さまは1,000円以上食べて欲しい。ラーメンのほかに餃子を頼んでくれると1,000円になります。今日、麺屋さんも会場に来られていると思いますが、今、追加トッピングが出なくなっています。そこで、こちらではトッピングした商品をお勧めする形にしました。私は、トウモロコシ好きなのですが、ラーメンのトッピングにトウモロコシと書いてあっても注文しないのですが、でも、味噌コーンラーメンであれば、注文します。その商品があれば、そちらに行  くという傾向があります。このお店では、わかめ、ゆで卵、チャーシューのトッピングを売りたかったので、わかめラーメン、ゆで卵ラーメン、チャーシューラーメンというふうに1商品として紹介しました。そして、サイドメニューのアピールとして、メニューより大きな写真を使った「おすすめおつまみ」としたポップをテーブルに置いていただきました。たったこれだけですが、客数は増えていないのですが、売上が2割上がったとのご報告をいただいております。

今日、ご紹介させていただいたのは、メニューの価格を上げるではなく、今あるものの中で表現の方法を変えることによって、売れ方を変えられた事例です。今のメニューを見直すこともすごく大事ですが、あと1割アップの目標であれば、ちょっと売れ方を変えるためにメニューの構成を変えることをやっていただければ、効果が出るのでないかと思います。最後の販売促進のページには、本日の話の流れも入っておりますので、お時間のある時に確認していただければと思います。

本日は、時間を超過していましたが、長時間にわたりご清聴いただき、どうもありがとうございました。

第二部「使用者(リーダー)の改革と人材育成(抜粋)」講師 e-労務事務所 代表取締役 特定社会保険労務士 田中 猛 氏

使用者(リーダー)の改革と人材育成(抜粋)

講師 e-労務事務所 代表取締役 特定社会保険労務士 田中 猛 氏

自己紹介をさせていただきます。20年前から社会保険労務士事務所を開設し、今年でちょうど開業登録20年になります。特定社会保険労務士というのは、労使間の紛争に対して紛争を解決するために労働局の中に紛争調整委員会がありまして、そこに持ち込まれた案件について、会社の社長や病院の医院長などの代人として出頭して従業員との和解交渉をする仕事をしております。働き方改革の改正法が今年4月に施行されました。法律が変わるということは、世の中が変わるということですから、これまでのやり方では上手くいきません。企業では、様々なルール作りも必要となるので、このため、いろいろな相談が増えてきております。

はじめに

今日のテーマは、使用者、リーダーの変化と人材育成です。今日は、会社を代表するような方、法人の事務局、理事長、理事の皆様が多くお集りですが、まずは、トップから変わっていただかないと、なかなか人材育成は進みません。少子高齢化が進み労働市場が非常に大きな影響を受けております。企業は、人手不足に悲鳴を上げているのが現状です。2019年1月から4月、過去最高の人手不足倒産となりました。売上が悪いとかではなく、人がいなくて倒産するというような時代になってきました。労働市場がひっ迫するということで、求人側が優位に立っております。働き手が有利で、会社が不利になっています。会社が選ばれる時代になっております。雇用の現場で、何が起きているのかというと政府主導で働き方改革が進んでいます。2019年4月に法改正がありました。大企業、中小企業ともに1年間で有給休暇5日以上を付与しなくてはなりません。1年間に10日以上の有給休暇を持っている人には、絶対5日は消化させなくてはなりません。

次に長時間労働の抑制です。1か月に100時間を超えるような残業で自殺や過労死が起き、労災を認めるようになってきました。政府は、このことを問題視し、規制をかけました。月に100時間労働などは、させてはいけません。平均で80時間、もし100時間したなら翌月は60時間に減らさなくてはなりません。次に2021年4月の施行の同一労働同一賃金の実行化です。パートと正社員の賃金ですが、同じ仕事をさせたのであれば、同じ単価です。あと福利厚生ですが、慶弔休暇をパートには与えず、正職員には与えることはダメです。同一でなければなりません。それから多様性マネジメントですが、これから少子高齢化で労働者が減少しますが、誰がその分を補うのかというと高齢者です。60歳、65歳を超えた方を雇うことになります。国は定年延長、年金の支給開始年齢を遅らせようとしていますので、60歳定年を65歳定年にして、65歳から70歳までを再雇用制度にする。ないしは、定年制度を廃止するということです。そうしないと人手不足で企業が回らなくなります。それから、障がい者雇用です。障がい者を雇用しないとペナルティを取るようになっています。次は、外国人の労働者です。これからの介護の現場では、日本人の労働者が来てくれないので、海外からの研修生の受け入れが増加します。次は、ワークライフバランス、これは育児と介護です。育児休業や介護休業で職安から給付金が出ますので、これからは積極的に休むようになります。これら施策を国が進めていますので、男性も育児休業を取るようになりました。テレワークも進みます。今、日本の多くの企業は副業、兼業は禁止、もしくは許可制ですが、副業、兼業制限も緩和するため、法改正をし、企業に就業規則を変えてくださいとなって行きます。そうしないと人が不足し、間に合わなのです。このような中で、人材を育成し、転職を防止して行かなくてはなりません。人事制度の改革をどんどん進めて行かなければなりません。当社の人材として育成した人は当社で活躍してもらうというふうにやって行かないといけません。飲食業の場合は、お料理が美味しければいいと思われますが、料理を作るのは人です。企業は、人、もの、金、情報です。人が大事です。人がダメであれば、やはりダメです。キーワードは生産性の向上です。いい人を雇って、人材にして、生産性を高め、働く時間を減らすようになって行きます。

次は、人口がどれだけ減るのかですが、北海道の人口は、2010年から毎年2%を超える人口減少が続いております。現在は530万台ですね。21年後の2040年には、推定400万人と急激な少子高齢化となる見込みです。なんと今から21年後には、25%の人口減です。ところが、札幌は、だいたい5から10%の減です。札幌以外の地方が極端に減って行きます。どうしても大都会に人口が集中します。現在よりも高齢者が増えますので、生産年齢層、年少者が減っていきます。今後、減った人口を競って取り合うことになりますが、採用した人が良い人ならいいのですが、能力がないのであれば、どうするのかということになります。人財になれば良いのですが、ならなかったらどうするのかということになります。

目 次

次のプログラムに目次を書いております。1 ローパフォーマーとは? 2 人財に変身させる、どんな人でも人財にさせる努力をしなくてはならないこと。3 問題社員への対応はどうしたらいいのか。4 問題点の整理。5 問題点の是正努力。 6 最後に解雇しかないのであれば、裁判になることを想定して証拠書類の重要性について説明します。

1.働き方不良社員とは?

働き方不良社員とは、どんな社員かというと、仕事の能力が低い人です。悪いことはしないのですが、良いこともしません。能力をあまり発揮しないで、ぶら下がり、ただのりと言われる社員です。このような人は、企業には必ずいます。社員が10人、20人いる企業なら、以前は、1人位いても何とか雇っていられました。しかし、今後は難しいです。1人1人の能力が非常に重要になってきます。1人に課せられる生産性が非常に高まって来ている中で、このようなローパフォーマーが1人いることで、いい社員が腐ってきます。ローパフォーマーをどうやったら人財にできるのか、人財になる可能性はありますので、人財にするべく企業は努力しなければなりません。

できる社員は見ている

よくできる方は、できない方を見ています。できない方のカバーをしなくてはいけないので、どうしてもできる社員に不満が出てきます。結果として、できる社員が転職してしまいます。できる社員はどこに行ってもできます。働き手が少ないので、能力の高い人はどんどん良いところに引っ張られます。そこの会社の待遇が良ければ、なおさらのことです。上司は、どうしてもできない社員には厳しくなりパワハラ的になって行きますし、同僚もそのような人の面倒をみたくなくなります。

2.人財に変身させるには?
①使用者(リーダーに)必要な思考

人財に変身させるのは、どうしたらいいのか。参考として青山学院大学の陸上競技部の原監督の言動から学んでいきたいと思います。今年、箱根駅伝は2位でしたが、前の年までは4連覇でした。駅伝で優勝したことのない青山学院大学で原監督がどうやって4連覇を成し遂げたのかですが、彼の著書を何冊か読み、大事だなと思ったところをピックアップしました。「勝つために何が必要か?自分は陸上界のエリートでもなければ、今流行のコーチングを大学院で学んだわけでもない。陸上選手としては、全国的に無名のまま実業団を5年で引退し、サラリーマンをしていた。そんな私が日本中の注目を集める箱根駅伝でチームを優勝へ導くことができた。勝つためには、その為の組織構築術がある。勝つためには、その為の人材育成術がある。すべては、サラリーマン時代に培ったビジネス手法なのです。これはスポーツだけではなく「組織人」として生きるすべての立場に置き換えられます。」と述べておられます。

原監督の人の育て方

原監督は、「百の失敗から学ぶよりも、一つの成功体験が学生を成長させる」と言っています。失敗から学ぶことも確かにあると思いますが、今の若い人たちは逆で、成功体験が一番成長に良いということです。また「たとえ小さな目標であっても、それをクリアする積み重ねが大きな成功への最短距離となり、喜びにあふれた人間作りの基盤となる。」、「現代は情報が氾濫しており、調べようと思えば世界中から情報を集め、知識を得ることができる。だから、従来のように指導者を100%信じて付いて行くと言う関係性の構築が難しくなっている。上から下に答えを指示するのではなく、ヒントを与え、自分で目標を立てさせ、その工程も自ら管理させる環境作りが重要です。」、「結果だけを見て、監督が「もうオマエはダメだ」と突き放してしまったら選手も腐るし組織も腐る。突き放す前に選手の言葉を聞くことが大切です。リーダーの仕事は、部下の情報を引き出して、実行するタイミングを作ること」、「リーダーと言っても、大した能力があるわけではない。新しい知識と言う点では、若い人にはかなわない。リーダーが持っているのは判断力。だからこそ、リーダーが蓋をしてしまったら、そのチームは決してリーダー以上の仕事はできない。」と言っています。私もそう思います。判断力は、一定の人生経験をして、人間として成熟しないと出ないものです。さらに原監督は「自己ベストを出したら、しっかり評価してあげることも重要です。」と言っています。褒めてあげることは重要だということです。

「もし、その子がやる気を失いチームの一員として機能しなくなるとチームの足を引っ張るようなケースも出てきます。」と書いています。やる気を失うと良い人の足を引っ張り、組織を弱めてしまします。次は「人間力を向上させるために、茶髪やピアスを個性だと主張する者がいるが、和を荒らすだけ、身だしなみや生活習慣の整わない学生は走る前から必要ない。」と言っております。これは企業としては採用面接の時にきちっと判断しなくてはいけません。「私の口癖に「そもそも論」がある。常に「何のために」を考えながら、想像を膨らませながら行動するようにしている。私は、陸上のノウハウも公開するし、他大学から聞かれたら全部メニュー見せますよ。ただ、それをマネるだけでは、ダメなんです。「何でこれをやるのか」「このタイミングで、この練習は必要なのか」という「何で」?という部分。そこを知らなきゃいけない。まず思う事、想像する事。そこから始まると思う。ただ漠然とボーツと生きているだけでは、ことは前に進まないと思います。」と書かれています。

職場のリーダーとして、どのタイミングで、どのような言葉をかけたら社員は成長するのかを考えていなくてはならないということです。少ない働き手を人財に、宝に育てなければならないので、リーダーは、ボーツとしていてはいけません。一人一人の言動をみて、どのタイミングで、この人を成長させて行くかを常に考え、念ずるように接していかなければならないと思います。

命令するリーダーから動機づけするリーダーへの変革

本日、一番紹介したいところです。命令するリーダーは昭和型のリーダーです。団塊の世代の人たちは、怒られて育てられました。親や周りから、そのように育てられた世代です。今の若い人は、親や祖父母などから大事に育てられており、私たちとは育った状況が違います。ここにパワハラのリスク度チェックが書かれています。これは、命令するリーダーほどチェックの数が多くなります。今年、パワハラ防止法が出来ました。大企業は来年6月から、中小企業は2022年4月から適用されます。来年6月以降、パワハラしたら労働基準監督署が会社に来て、行政指導、是正勧告されます。報告書を出し、改善プログラムを作らなければなりません。この文章を1つ1つ読んでください。文章は10個ありますが、半分以上にチェックをつけた方は、命令するリーダーで、パワハラリスクが高い方です。これからの時代は、動機付けするリーダーに変革しないといけません。

リーダーの変革視点

私たちは、どうのような動機付けするリーダーになればいいのか、動機付けとはどういうことなのかというと、ここに記載したとおり8つあります。まず、①観察する。見える部分だけではなく、目に見えない価値観や欲求を聞くことです。②挨拶する、声掛けの強化をする。コミュニケーション不足の解消、何気ない挨拶や声掛けが有効。挨拶しない人がたくさんいますが、挨拶は是非しなくては、なりません。おはよう、ご苦労さま、元気か、ごはん食べているか、などその人に合う言葉をかけてあげることです。③肯定的なメッセージ。より肯定的なメッセージを発信することで評価されたと自信が持てる。④受容性を高める。受容とは相手の存在を受け入れることで、パワハラは逆の働きかけになります。仕事をやるように導く訳ですから、自発的にできるような仕組みにしてあげることです。これから北海道はますます外国人が増えます。海外からの人が増えて、言動、文化の違う人たちを受け入れて行かなければなりません。若い人は、外国人だと思ってください、そうすれば腹も立ちません。それぐらいの気持ちで接することです。⑤共感性を高める。部下を理解する共感性。共感してあげたいという心が表情や態度に表れます。⑥問いかける技術。イエス、ノーで答えられる質問ではなく、気持ちも伝えやすいオープンクエスチョンを心掛ける。従業員が失敗したら、失敗に対し、「どうやったらうまく行くと思う」と聞いて、一緒に考えようということです。「なにやっているんだ!」とか「何回言ったらわかるんだ!」などとは言わないことです。上司のきつい叱責で若い人がうつ病で休職となる事例もあります。厳しく怒って、うまく行く時代ではありません。だから昭和型のリーダーは令和のリーダーに変わらなければなりません。⑦適切な目標設定。簡単でも遠くでもない目標の提示が部下を動機付ける。従業員の人材育成にも目標の設定は必要です。1人1人に目標設定をしてあげる。例えば、1か月以内にこのようなことができるようになる。2か月目には、このようなことができるようになる。そして1年後には1人前になる。その人と一緒に目標を設定して、できれば自発的に自分で考え、プログラムを作り成長して行くようにしてあげることです。⑧フィードバック。目標に対しての軌道修正やサポートが部下を動機付ける。できないと突き放すのではなく。目標どおりにできないのであれば、1,2か月待つ、練習するなどのカバーをしてあげることです。

動機付けの理論

アメリカの心理学者にマズローという人とハーズバーグという人がいます。マズローは、人間の欲求には基本欲求と成長欲求があり、5つの段階があると言っています。重要なのは成長欲求で、ここに記載しました④と⑤、第四段階、第五段階に入ると自発的に何でも取り組み、成長して行こうという傾向になるということです。第一段階は、生理的欲求で、食欲、性欲、睡眠欲など。第二段階は、生活の安全欲求で、生活の安全など。第三段階は、社会的欲求で、集団への所属や愛情など。第四段階は、名誉欲求で、他者からの尊敬や承認、また自尊など。第五段階は、自己実現欲求で、真・善・美・独自性・自立・完全性、また働きがいなどです。「ありがとう」と会社の社長やリーダーから言われたり、「君のお蔭だ、いい仕事をしてくれた」、「お客さんも喜んで帰ったよ」などと言われるともっと頑張ろうとなります。

次にハーズバーグですが、衛生要因と動機付け要因について述べています。衛生要因とは、これが満たされないと不満を持つが、満たされると当然と思うだけのもので、例えば、政策運営、方針、作業条件、賃金水準、対人関係です。動機付け要因とは仕事でこれが働いていると「やる気」が起きるもの。例えば、目標達成、承認、価値ある仕事への挑戦、責任職責が増大、自分の目標伸長ができる。これが達成されてくると一人でどんどんやろうという気持ちになってきます。

私のリーダー像
寛容と忍耐

人を育てるのは、子供を育てるのと同じで、寛容と忍耐が必要です。我が子の如く、耐えて育てることです。

育児は自分を育てると思って、褒めて育てることです。褒めるというとこは、おだてることではありません。褒めるには、その人の良いところをしっかり見る、観察をしないとできません。今まで、できなかったことができるようになったら褒めてあげるこれが人材育成に通じると思います。自分の育成にもなります。自分と社員は同等の能力、もしくは、それ以上の能力があると信じなくてはなりません。固定観念を捨てて平等に扱うということです。日本食文化の傑作は「だし」です。素材を活かすのは「だし」ですが、リーダーは「だし」だと思います、職場の人を活かすのはリーダーの仕事です。本人も知らない隠れた長所を見つけて引き出して行くことです。良いところも悪いところも他人が一番気づきます。皆さんは、社員のダメなところ言えると思います。会社のAさん、Bさん、Cさんの悪いところはすぐに言えると思いますが、良いところはなかなか言えないのではないでしょうか。しかし、伸びるのは、良いところですので、良いところを見つけなければなりません。次にアクティブラーニング、考えさせる教育です。答えを言わないで、答えはあなたが見つけてくださいというものです。ですから、能力が引き出されて行きます。

②組織全体で取り組むべきこと

レベルアップのための5ヵ条が書かれています。組織全体で取り組むものです。

1 到達目標を設定する 2 同じ方向を目指すよう誘導する 3 社員の個別性を考慮する 4 一定の権限を与えて委ねる 5 努力や成果を評価する

3.問題社員への対応法と法的留意点
①解雇前のプロセス管理の必要性

日本の社会は、まだまだ、解雇は難しいです。解雇決定前のプロセスが重要視されます。雇った従業員は簡単にやめさせることはできません。簡単にやめさせた場合に労働基準監督署に持ち込まれると監督署に不当解雇と言われますし、裁判を起こされると解雇権の乱用と判断され、地位が元に戻ってしまいます。そうすると争った1年、2年の間の賃金を支払わなければなりませんし、従業員は職場に戻ってくることになります。解雇は容易ではありません。解雇は難事中の難事と心掛けて、プロセスをしっかりする必要があります。解雇は、時間をかけて、教育し、指導し、注意し、改善の期間を与え、それでもなお且つ改善されない場合のみに適用されます。

②解雇が有効か否か? 裁判所はどのような点を重視するのか?

我々の業界では、有名なエース損害保険事件というのがあります。解雇権乱用で会社が負けた裁判例です。司法、裁判所はどういうことを考えているのかというと、アンダーラインを引いてあるところが重要なのです。読んでみます。「正規従業員を勤務成績・勤務態度の不良を理由として解雇する場合、それが単なる成績不良ではなく企業経営や運営に現に支障・損害を生じ又は重大な損害を生じる恐れがあり、企業から排除しなければならない程度に至っていることを要し、かつ、その他、是正のため注意し反省を促したにも関わらず、改善されないなど今後の改善の見込みもないこと」とあります。これらの条件が揃ったら解雇を認めるということなので、ハードルは高いです。

次のページにも解雇のことが書かれています。

③労働契約法の解雇条文

この解雇法令は、労働契約法という法律に書かれていまして、労働契約法は何法かといいますと民事法規です。労働法で使う法律には2つあります。1つは行政法規、もう1つは民事法規があります。行政法規の主たるものは、労働基準法です。もし、これに触れますと労働基準監督官が会社に来ます。手帳を出して、「労基署の臨検です」と言って、例えば、「残業代未払いについて調査します」となります。労働契約法は民事法規ですので、解雇が有効かどうかについて、労基署は判断しません。これは、裁判で争います。第16条は普通の解雇です。第15条は懲戒解雇です。第16条ですが、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」とあります。3つ揃わければなりません。「客観的」、「合理的理由」、「社会通念上」、これ3つとも難しいです。客観的は第三者から見た事実、第三者から見てしっかりした証拠があるかどうか。そして、合理的理由とは、雇用契約書、就業規則など約束した書面によって書かれたものがあるのかどうか。社会通念上相当とは、誰が判断したものかというと裁判官です。裁判官が判断したものが社会通念上相当です。世間一般で言われているものが社会通念上相当ではありません。

次に懲戒解雇ですが、懲戒解雇はこの3つの要素にさらに「労働者の行為の性質及び態様その他に事情に照らして」が加わります。ということは、犯罪的な事件を起こしたときに懲戒解雇も有効であるということです。では、皆さんに質問です。精神科の病院で、患者からの預かり金を職員がごまかしていた事件です。いわゆる業務上横領です。20年以上このような行為をしており、証拠として明確なのは2千700万円ほどで、警察に横領事件として被害届を出しました。警察がこれを受理したと思われる方は手を上げてください。受理されないと思う方は?これは、受理してくれませんでした。ということは、自分の医院で解決しなさい。民事で解決しなさいということです。この人には、懲戒解雇を行うこことなりました。

次の事例です。アパレルショップの売り場で、返品があった時にはお客様にお金を返すのですが、そのお金が1年間で200万円ほど合わないことがありました。従業員に聞いたら、お金を取ったとのことで、会社は警察に被害届を出しましたが、不受理でした。会社の管理不行届きとして民事で解決しなさいということです。この件は、会社側にも半分は責任があるので、被害の半額の100万円の返金と懲戒解雇を相手が受け入れて終了しました。

4.問題点の整理

問題点の整理をしますと、①から⑥まであります。①業務命令違反、②勤務懈怠、③能力不足、④反抗的態度、暴言、⑤欠勤、遅刻、離席が多い、⑥予想される言い訳。 問題を整理しておいて、何に引っかかるのか、しっかりレポートを書いておかなければなりません。

予想される相手方の言い訳は、性悪説で考えなければいけません。性善説で考えてはいけません。例えば、会社のお金を盗んだ事案で、すいませんでしたで、終わればいいですが、相手方に弁護士が付いたら、「おたくの会社の管理不行届きでしょう。それを会社が高飛車に従業員の責任として押し付けて、懲戒解雇は許されないです。会社の怠慢でしょう」と裁判で争ってきます。このように向こうは向こうで、別な言い方をしてきますので、簡単には解決しません。民事に行ったら長期間争うこととなります。

5.問題点の是正努力

①注意指導とパワハラ、②配置転換、③一定の処分 注意指導はいいのですが、絶対にパワハラはしないでください。今は、スマホですぐ録音されます。ある事例ですが、勤務態度が非常に悪く、他の職員が迷惑をしているので、上司が注意したところ、この職員がスマホでそれを録音し、言葉の一部を切り取り、パワハラの証拠として利用したことがあります。職員を注意する言動には、本当に気を付けなければなりません。切り取られた言葉が独り歩きして、どこに持ち込まれるかわからない時代です。

6.証拠書類の重要性

最後に証拠書類の重要性です。①聴き取り調査、②書面、③出勤簿、④PCの記録、⑤業務日報等

最後には、争って裁判になると証拠書類が重要になってきます。書類を整えておくことです。メモでもいいです。曖昧なものはダメです。はっきりとしたものを残しておくことです。手帳に書いておけば、それが後で有効になってくる場面があります。みんなが良い社員ならいいのですが、どうしても解雇せざるを得ない社員が出て来ることがありますので、そのためには、こういったもの用意しましょうということです。

長時間ご清聴ありがとうございました。

令和元年10月に実施しましたセミナーの様子

開会の挨拶 公益財団法人北海道生活衛生営業指導センター 理事長 小池広昭

第1部講師 遠山景子 氏

第1部 遠山景子 氏

第1部 遠山景子 氏

第2部 田中 猛 氏

第2部 田中 猛 氏

第2部 田中 猛 氏

閉会の挨拶 生衛業支援セミナー実行委員長 高柳 孝幸 氏

会場風景

配布資料

セミナー会場

セミナー参加者によるアンケート結果

当日参加いただきましたお客様によるアンケートの集計結果です。

アンケート対象者35名、アンケート回答29名

人数
女性 5
男性 23
記載なし 1
29

男女別・年代別回答者数

年代 20代 30代 40代 50代 60代 70代以上 記載なし
男性 1 1 3 4 6 8 0 23
女性 0 1 0 0 2 2 0 5
記載なし 0 0 0 0 0 0 1 1
1 2 3 42 8 10 1 29

セミナー全体の評価

項目 大変良かった 良かった ふつう あまり良くなかった 良くなかった 無回答
セミナー全体の評価 13 13 1 0 2 0

〇 集計結果のまとめ

「大変良かった」及び「良かった」と回答された方が26名(89.7%)であった。

遠山講師の講演の評価(回答者29名)

項目 大変良かった 良かった ふつう あまり良くなかった 良くなかった 無回答
お店の集客・売上・利益アップの手法 遠山 景子 氏 14 13 2 0 0 0

「大変参考になった」及び「参考になった」と回答された方が27名(93.1%)であった。

講義時間について

ちょうど良い 長い 短い 無回答
4 15 4 6

田中講師の講演の評価課(回答者27名)

項目 大変良かった 良かった ふつう あまり良くなかった 良くなかった 無回答
使用者(リーダー)の改革と人材育成 田中 猛 氏 16 9 2 0 0 0

「大変参考になった」及び「参考になった」と回答された方が25名(92.6%)であった。

講義時間について

ちょうど良い 長い 短い 無回答
2 19 1 5

生衛業支援セミナーアンケートご感想、ご意見の記載一覧

当日参加されましたお客様よりいただきましたご感想、ご意見を下記に記載しております。

  1. 利益アップ : 説明の中でビフォーアフターとしての写真が大変わかりやすかった。使用者の変革 : 使用者(リーダー)の変革の必要性とそれに伴う人材育成の方法が良く理解できた。 (男性 60代)
  2. お店の衛生管理:もう少しハサップの取組方を知りたかった。売上アップ、顧客獲得のノウハウ:例があり、わかりやすかった。今度はホテル・旅館の例もあれば、うれしいです。【男性、60代】
  3. お店の利益アップの手法  ①具体的かつすぐできそうな事案が多く非常に参考になる。低コストでもあり、すぐお客様に紹介したい。 ②販売促進=イベントといった考えの間違い、売上の10%増のための計画の組み立て方等、常識と思っていたことを正してもらえて良かった。・使用者の変革と人材育成 ①時代が変わったという点の認識が必要と思った。 ②解雇時の注意事項はもっと聞きたかった。(男性 50代)
  4. 遠山先生 メニューの作りの考え方など勉強に成りました。 (男性 60代)
  5. 身近な例と重なり、大変参考になりました。 (男性 20代)
  6. 第1部のみ参加  告知の仕掛けづくりが参加になった。 (男性 50代)
  7. 遠山氏からは、お金を極力かけずに売上と利益をアップさせる方法を知ることができました。田中氏からは、リーダー(管理職)としての心構えについて学ぶことができ有意義であった。(男性 40代)
  8. 遠山先生のお話は、分かっているつもりの事が実はまちがっていたと気付けました。映像によるビフォーアフターも分かりやすく参考になりました。田中先生のお話は、これからの人材の育て方のむずかしさを考える良い勉強になりました。(女性 60代)
  9. 第1部 さすが300店以上に関わっただけあり、実践的な講義だった。客単価アップがちょっとした工夫で出来る各種事例が興味深かった。第2部 少子高齢化、働き方改革。 社会の変革の中で、令和新時代のリーダー像とは、いかにあるべきか。時にユーモアを交え、含蓄に富んだ田中先生の講義は大いに有意義であった。(男性 60代)
  10. 労務管理の重要性がわかった。 (男性 70代以上)
  11. 第1部 遠山先生の説明はわかりやすく参考になった。 (男性 70代以上)